GANTZの奥浩哉先生の隠れた名作
GANTZで有名な奥浩哉先生ですが、GANTZの直前に連載していた『01<ZERO ONE>』という漫画があります。
近未来の2028年に、対戦型バーチャル格闘ゲーム「MBZ」が大流行しているという世界観で、主人公音露(ネロ)がこのゲームの世界で活躍をしていくという話なのですが、奥浩哉先生の作品にしては珍しくバイオレンス描写(暴力、殺人、性描写等)もほとんどなく、純粋に魅力あるキャラクターと世界観だけで話が展開されています。
主人公の音露(ネロ)が「MBS」というゲームで、ゼロワンというカスタムキャラを使って、勝ち抜いていくのですが、このゼロワンの設定がなかなか良いのです。
この「MBS」というゲームは自作のキャラクターをディスクに入れておくことができるのですが、主人公の音露はたまたま他人のディスクを拾い、この「MBS」へ参加します。この拾ったディスクに入っていたゼロワンが一風変わったキャラクターなのです。
通常時は白Tシャツにジーンズをはいただけの青年の姿で、圧倒的に弱い設定がされているのですが、
「チェンジゼロワン」の掛け声で、メカニカルなデザインに変身します。
んで、弱そうな通常時の時間でいる時間が長ければ長いほど、この変身形態時に強くなるという設定です。
私はこのゼロワンの見た目と設定が気に入っています。
このゼロワンですが、セガサターンの格闘ゲーム『ファイターズメガミックス』の隠しキャラクターであるレンタヒーローをモチーフにしているのではないかと考えています。レンタヒーローは格闘ゲームに出てくるキャラクターでありながら、一定以上のダメージを受けると、ヒーローのアーマーが壊れ、ゼロワンと同じ白Tシャツにジーンズの”やまだたろう”という最弱キャラになってしまうという設定があり、見た目も似通っています。(過去にこのゲームをプレイした時、レンタヒーローの設定が好きでよく使っていました。)
アーマー有のレンタヒーロー(画面右)
アーマー無のやまだたろう(画面左)
ゼロワンとレンタヒーローよく似ていると思いませんか。
ゼロワンの好きな点は、ゼロワンの設定や世界観だけではなく、その終わり方も挙げられます。
おそらく打ち切りとなってしまったのでしょうが、魅力的な仲間が集まり、これからライバルとの戦いが始まるというところで物語が終了してしまうのですw
「そこは、主人公がゲームの大会に一緒に参加する仲間たちを集めたんだから、大会で仲間たちのキャラクター性がを描いていくだろうし、主人公の扱う謎のゼロワンの秘密が明かした上で、最強のライバルとの熱い戦いが描いてくだろ、普通www」とつい突っ込んでしまいたくなります。
そんなもっと読みたいという気持ちが湧いてくるのですが、これが逆に良いとも思えるのです。
後の展開を想像させてくれる良い終わりなのかなと勝手に思ったりしています。今では、「続きが読みたくてたまらんのだけど、ない」という終わりが気に入っています。
また、当時としては、おそらく最先端のCG技術が投入されており、GANTZやいぬやしきなどの作品と見比べても、その画力のレベルに遜色はありません。奥浩哉先生の作品が好きでゼロワンを読んだことのない方は必見だと思います。
なんだか、マニアックなことばかり書いてしまい、魅力を伝えられていない気がしますが、ゼロワンのことが少しでも気になった方は、一度読んでみてください。全3巻なので、サクッと読み終わりますし、エンタメ作品として気軽に面白く読むことができますので。